帽子の肖像 Profile.27
ハリウッドザコシショウ
帽子が本当に似合う人。それは格好良く年齢を重ねた大人かもしれない。
スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。
連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。
今回は孤高のピン芸人、ハリウッドザコシショウさんが登場。
トレードマークとなっているテンガロンハットはどのようにして生まれた?

ハリウッドザコシショウ
“スキンヘッドで裸だけだったら、売れてないかもしれないですね”
あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。
そらもう、ハゲたからですよ。最初にG★MENS(ジーメンス)というコンビをやっていた頃は、金髪でツンツンみたいな髪型でやってたんですけど、28歳くらいから禿げ始めて。30歳くらいで解散するんですが、ピン芸人でやっていくにあたり、今までのキャラクターをリセットというか方向転換したかったんです。それでスキンヘッドにしたんですけど、どうにもバランス悪くて。スキンヘッドだけだと可愛げがないというか、なんか“グロい”んですよね。何か頭の上に欲しいな、と思って辿り着いたのがテンガロンハットでした。
あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?
昔からプロレス好きなんですけど、ピン芸人になってキャラの方向を探していたときに、アメリカのJBL(ジョン・ブラッドショー・レイフィールド)というプロレスラーが、いつもスーツにテンガロンをかぶっているのに気づいて。面白いヒールのキャラクターだったので、オレも真似してかぶってみたんです。そのJBLが尊敬していたのが、スタン・ハンセン(プロレスラー)。でもJBLにしても、スタン・ハンセンにしても、憧れていたわけではないかなぁ。キャップとかベレー帽とか、他の帽子が似合わなかっただけなんですよね。
あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。
素材はウールが良くて、革だと暑くて汗がすごいからダメ。あとはツバの角度ですかね。いつもだいたい45度くらいにしているんですけど、鏡を見ながら自分なりの角度にたどり着いたというか。この帽子にはツバのところに針金が入っているんで、好みの角度に出来るんですよ。だからバーン!とツッコまれてカタチが崩れたら、その場で直します。針金が入っていないとペニャペニャになっちゃうので、針金入りのものを必ず買うようにしているんです。
今日かぶっている帽子について、教えてください。
テンガロンは6個くらい持っているけど、ボロくなったら新しいのに換えるので、常に1個だけ現役。日本ではあまりテンガロン売っていないので、上野の高架下にある石原商店というところで買っています。メーカーは気にしたことないけど、これはBULLHIDEっていうアメリカのブランドですね。オレにとって一番カタチがいいからコレにしました。服でもそうですけど、自分で着たいものしか着ないんです。人から「何それ」って言われても、自分が着たいと思ったら着る。割と昔からそういうタイプです。
あなたの人生にとって帽子とは?
“髪の毛”かな。もうオレ、髪の毛いらないから。生えたくないんですよ、めんどくさいし。と言いながら、毎日剃っているんですけど(笑)。こないだカツラをかぶってみたんですが、髪の毛がある方がオレの年齢相応(50歳)に見えちゃう。スキンヘッドの方が、年齢不詳で若く見えるからいいですよ。そこにテンガロンハットでミスマッチというか、ナンセンスな感じが出せたのが良かったのかもしれない。スキンヘッドで裸だけだったら、売れてないかもしれないですね。

撮影:清水健吾
編集:武井幸久(HIGHVISION)
ハリウッドザコシショウ /
Hollywood Zakoshisyoh
1974年生まれ。静岡県清水市出身。1993年にコンビ G★MENSでデビュー。2002年にピン芸人としての活動を開始し、2016年に「R-1ぐらんぷり」で優勝。お笑い番組やライブを中心にさまざまなシーンで活躍。2024年には地元静岡のSBS(静岡放送)で「冠ザコシの冠冠大冠」がスタート。2009年に開始した自身のYouTubeチャンネル「ザコシの動画でポン!」では、毎日投稿を続けている。
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