帽子の肖像 Profile.22
スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。
連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。
今回は俳優、モデル、レゲエDeeJay、執筆業と、年々活躍の場を広げている窪塚洋介さん。
窪塚洋介
“帽子だけは唯一衝動買いするアイテムです”
あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。
高校1年の頃にファッションに目覚めて、古着に合わせてハットやキャップをかぶるようになりました。カネはなかったので、最初は古着に合わせて2000円くらいのハットをかぶってたような。当時はちょうど役者になりたてで、いろんな役柄の人物像になれることを意識するようになっていた時期。たとえばサーファーっぽいファッションにはキャップ、パンクスっぽい服装にはハット、古着にはニット帽とか、そのスタイルに合う帽子を意識的に探してました。甚平着て頭にタオル巻いたりとかもしてましたね。
あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?
高校の頃はバンドをやっていたので、ミッシェル・ガン・エレファントのチバ(ユウスケ)さんとか。身近なところでは当時付き合ってた彼女の兄ちゃんがカッコよくて参考にしました。ヒップホップも好きになって、海外のラッパーのかぶり方や、あとはスケーターのスタイルも真似していましたね。役者として“何でも着られる自分”でいたかったので、具体的に「誰」ということでもなく、それぞれの服や帽子を纏った時の空気感みたいなのを、できるだけ吸収しようとしていました。
あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。
プライベートでは本当に毎日のように頻繁にかぶっているんですよ。というのも、帽子をかぶると髪型を気にしなくていいじゃないですか。こう見えて不精なんで、パッとかぶれて頭の上を心配しなくていいラクさは、帽子をかぶる理由の一つかも。だからこそ良いもの、カッコいいものをかぶっていたいと思っています。最近ハマっているゴルフの時も、ハットやハンチングを使い分けています。もちろんマナーはあるけど、その枠の中である程度自由に遊ぶのが楽しいですね。
今日かぶっている帽子について、教えてください。
これはどこかのホテルに行った時に、そこのイメージビデオでダンサーの男の子がかぶっているのがカッコよくて、仲の良いスタイリストにすぐに聞いて買ったボルサリーノ。ボルサリーノ好きで7つくらいは持ってます。帽子はキャップ類含めると100くらいはあるかな。洋服は好きなブランドからいただいちゃうことも多いのであまり買わないけど、帽子だけは唯一衝動買いするアイテムですね。帽子は「一期一会」みたいなものが多いので、出会ったら買う。家では「また帽子買ってきたのー?」って文句言われるから(笑)、時々断捨離してますけど。
あなたの人生にとって帽子とは?
本当に毎日かぶっていると言っても過言ではないので、“一心同体”というか、もう髪の毛かな(笑)。外を歩く時にも少し変装っぽくもなるし、髪型も作らなくていいし、ファッションのアクセントにもなるし、僕にとって帽子はいいことずくめですよ。
撮影:清水健吾
編集:武井幸久(HIGHVISION)
窪塚洋介 / Yosuke Kubozuka
1979年生まれ。神奈川県横須賀市出身。1995年に俳優デビュー。2001年公開映画「GO」で第25回日本アカデミー賞新人賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。その後数々の映画やドラマに出演して独特の存在感を発揮する。ファッション業界での注目度も高く、デビューからファッション誌のモデルを続け、多くの雑誌の表紙を飾っている。音楽活動、執筆業も精力的に行い、近年はゴルフアパレルブランド「8G SHOOT」のプロデュースも手がけるなど、活動の幅をさらに広げている。
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