帽子の肖像 Profile.20
ケンドーコバヤシ
スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。
連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。
今回は、実はお笑い界きっての帽子好き、ケンドーコバヤシさんが登場。
ケンドーコバヤシさんがプライベートで帽子をかぶり続ける理由とは?
ケンドーコバヤシ
“バイクに乗り続ける限りは、帽子をかぶり続けるんじゃないですかね”
あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。
大阪育ちなので、気がついたらタイガースのキャップをかぶっていたんです(笑)。幼稚園入る前から小6くらいまで。昭和の大阪はそういう子多かったですよ。でも僕はちょっとひねくれていたのか、「普通とは違うのにしてくれ」と、横に3本ラインが入ったワークキャップみたいなタイガースキャップを買ってもらっていました。自分で帽子を買うようになったのは、10代でバイクに乗り出してから。ヘルメット脱いだ時に髪型がエラいことになるんで。何歳からバイク乗ってたかは、ちょっと言えないんですけど(笑)。
あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?
今日の格好もモロなんで言うのが恥ずかしいですけど、マーロン・ブランドです。20歳の頃に『乱暴者(The Wild One)』という映画を観て、主人公のジョニーの革ジャンにブーツにデニム、そしてキャスケットの姿にめちゃめちゃ影響を受けて。そういう格好をしだした当時は周囲から浮いてたんですけど、そこに満足感もあったんですよね。でもその後、木村拓哉さんのドラマ効果で、一時期キャスケットがめっちゃ流行るんです。陣内(智則)とかも流行りに乗ってかぶり出しやがって(笑)。その頃、一旦キャスケットを卒業しました。
あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。
普段ずっと帽子かぶっているんですが、小さい頃のおばあちゃんからの教えを守って、メシ食うときや人と会話したりする時は必ず脱ぎます。僕は人生を帽子と共に歩み過ぎたがゆえに、整髪料というものを人生一度も買ったことがないんですよ。仕事の時の髪はメイクさんに任せっきり。地方ロケに行くと、たまに現地にメイクさんが来てないこともあるんですが、そういう時は寝癖のままで出てます(笑)。あと冠婚葬祭のときは困りますね。帽子かぶれないんで、直前にシャワー浴びて行ったりしてますよ。完全に帽子に頼りきって生きてるんです。
今日かぶっている帽子について、教えてください。
これはもう完全にマーロン・ブランドのパクリです(笑)。こういう風にキャンバス地でツバがレザーになっているキャスケットを探すと意外にないんですよ。これは[ドライボーンズ(Dry Bones)]という服屋さんで買ったもの。帽子は特にブランドにもこだわらず、あまり深く考えないで、「いいな」と思ったら買うようにしています。だから帽子の数はめっちゃあって、たぶん100個じゃきかないくらいは持っていますよ。
あなたの人生にとって帽子とは?
僕が帽子をかぶるようになったのは、バイクに乗り始めてからなんですね。ヘルメット脱ぐと、髪型が悲惨なことになるんで。だから僕がバイクに乗り続ける限りは、帽子をかぶり続けるんじゃないですかね。もしいつかバイクに乗らなくなったら、もしかしたら人生で初めて整髪料を買うのかもしれないです。
撮影:清水健吾
編集:武井幸久(HIGHVISION)
ケンドーコバヤシ / Kendo Kobayashi
1972年生まれ。大阪府大阪市出身。お笑い芸人。 YTV「にけつッ!!」、CSフジ「漫道コバヤシ」などのレギュラー番組を始め、EX「アメトーーク」など様々なバラエティ番組に出演中。趣味はプロレス格闘技観戦、漫画、バイク。その幅広く博識なトークで絶大な人気を誇る。2023年8月17日(木)には座・高円寺2にて「ケンドーコバヤシ主催『地獄寄席LEVELⅡ』」を開催。チケット絶賛発売中。