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Portrait of a Hat Profile.17 Naozumi Masuko (Dohatsuten)

Portrait of a Hat Profile.17 Naozumi Masuko (Dohatsuten)

帽子が本当に似合う人。それは格好良く年齢を重ねた大人かもしれない。 スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。 連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。第17回目は、バンド 怒髪天のヴォーカル、増子直純(ますこ なおずみ)さん。
小学生の頃から“度を超えていた”帽子のかぶり方と、いまのスタイルは?


 
5 QUESTIONS TO

増子直純

“気に入った帽子はサイズ違いで2つ買うんです”

 

あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。

意識的にかぶり始めたのは小学校のときです。野球チームの金属製のバッジを帽子につけるのが流行っていたんですよ。僕は札幌なのに広島カープの帽子で、バッジをありったけ付けて兜(カブト)みたいにしてかぶっていたんです。ダイキャスト製みたいなやつで、すげえ重かったですけど、自分的には「よりカッコよく」と思っていたし、オシャレのつもりだったんですよね。でも学校の先生に「物事ってのは限度があるだろ! 二度とかぶって来るな」って怒られちゃって。確かにいま考えるとマトモじゃないけど、昔から何をやっても度を超えちゃうんですよね(笑)。

 

あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?

子供の頃に憧れたのは(「ルパン三世」の)次元大介、音楽が好きになってからはザ・クラッシュのポール・シムノンとジョー・ストラマーです。ザ・クラッシュは、僕にとっては「革ジャンにもハットが似合う」ってことを教えてくれた存在。今でこそ普通に見えますけど、当時は驚きました。ファッションは文句なしにカッコいい、それでいて反体制を歌う姿勢に憧れましたね。今日の格好も近いですけど、完コピすると恥ずかしいのでハズしを入れてます。あ、そうだ。今日の靴はセミオーダーした「ルパン」の“銭形モデル”ですよ。

 

あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。
 

全体的なバランスですね。シルエットが大事だと思います。帽子を決めてから下をコーディネートすることもありますし、その逆もあります。「このパンツにこのハット合わないな」と思ったら、ハットを新調したり。僕の変なこだわりですけど、ハットでもパンツでも、気に入ったら同じものの大きめと小さめのサイズで2つ買うんです。上着とのバランスで、ツバの広さがもう少し欲しいけど、ジャストサイズだとちょっと狭いと思ったら、内側にスポンジ回して大きめをかぶる。微妙なことだけど、結構違いますよ。

 

今日かぶっている帽子について、教えてください。
 

これは原宿で友人がやっている[RALEIGH(ラリー)]というブランドのハットです。前はもっとパンクっぽい服が多かったけど、最近は彼が着たいものが増えてきていろいろ作ってて。このハットはもう5年くらいかぶっているかな。気に入っているのはこの極端な形ですね。ツバも広いし、クラウンも高くて、横にも縦にも長い。「ドロロンえん魔くん」みたいな(笑)。こういうちょっと漫画的なモノが好きなのかもですね。

 

あなたの人生にとって帽子とは?
 

暴走族のクルマで言えば、竹ヤリ、エアロパーツかな(笑)。自分に気合い入れて、デカい音で走ってスピードも出すみたいな。自分を加速させるものですよね。帽子って目から入る情報としてすごく大事で、その人を印象付けるものなんですよ。だから適当な帽子をかぶっている人って信じられないですけどね。オレが選んでやりたいくらいですよ。

撮影:清水健吾
編集:武井幸久(HIGHVISION)
増子直純 / Naozumi Masuko(怒髪天)

1966年 北海道札幌市出身。1984年にバンド 怒髪天を結成。一度見たら忘れられないエモーショナルなライブスタイルと、その真逆をいく流暢なMCが混在するステージは圧巻。その気さくなキャラクターで「兄ィ」の愛称で親しまれている。お宝鑑定団へ出演する程のヘドラコレクターであり生粋のゲーマー。楽曲提供、TVCM、映像/舞台作品出演も積極的に行うなどマルチに活躍中。

怒髪天オフィシャルウェブサイト