Portrait of a Hat Profile.14 Ryoji Imaizumi
帽子が本当に似合う人。それは格好良く年齢を重ねた大人かもしれない。 スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。 連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。 第14回目は、ファッションの世界で活躍を続けるヘアスタイリストのRyoji Imaizumiさん。
Ryoji Imaizumi
“古くなってボロボロになっても、直しながら使い続けるのが好きなんです”
あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。
若い頃は帽子をかぶっていなかったのですが、ニューヨークやパリでヘアの修行をして2007年にフリーになって、またニューヨークに戻った時からです。ひとりのモデルの女の子が好きになり、一緒に旅もした旅先で別の男に持って行かれて、傷ついていたら、その男の友達が「スーパーマン」のロゴが入った麦わら帽をくれたんです(笑)。「すごく似合うよ!」と言ってくれて。確かに似合うので、それをボロボロになるまで3年くらい毎日かぶり続けて、そこから帽子をかぶる生活になりました。その帽子は今も修理しながら大切に持っています。
あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?
やっぱりミュージシャンのしている格好ってカッコいいじゃないですか。音楽とファッションって常にリンクしているし、子供の頃はマイケル・ジャクソンにも憧れました。90年代にニューヨークにいた時には映画『ニュージャック・シティ』に出てくる黒人の帽子スタイルとかも少し真似しましたけど、一番影響受けたのはネリーっていうラッパーがバンダナをしてカウボーイハットをかぶってクルマに乗っているPV。実は僕のスタイルにはそれが根底にあるのですが、知らない人にはよく「ジャック・スパローみたい」って言われます(笑)。
あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。
帽子をかぶる時は必ずバンダナをしています。それはスタイル的なことでもありますが、もう一つの理由として、帽子の内側が汚れないというのがあります。僕はいつも同じ帽子をかぶることが多いので、そこは結構重要なんです。だから帽子を選ぶときはバンダナありきのサイズ感。実はバンダナにもこだわりがあって、ありとあらゆるバンダナを何百枚も買って試したのですが、結局このLevi’s ®のこの柄しか使わないので、同じものを3枚買いました。僕は髪型もそうなんですけど、気に入ったスタイルを変えないタイプなんですよね。
今日かぶっている帽子について、教えてください。
これは5、6年前に買ったKIJIMA TAKAYUKIで、ブラウンと黒の2色を買いました。このツバ広の型が好きなのですが、さらに自分が好きな形にアレンジしているし、アクセサリーも自分で買って付けています。帽子でも服でも、身につけていて少しでも違和感があると、どんどんカスタマイズしちゃうんですよ。古くなってボロボロになっても、それを直しながら使い続けるのが好きなんですよね。他にも沢山帽子はあって、それぞれ切ったり、脱色したり、染めたり、蝋を垂らしてみたり色々試していますけど、結局かぶるのはコレばかりです。
あなたの人生にとって帽子とは?
僕のスタイルにとって欠かせないものでもありますが、帽子ってやっぱり気合いが入るスイッチというか、一段階気持ちのレベルが上がるものだと思います。かぶるだけでストロングスタイルになれるというか、そういう存在ですね。