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Hat Portrait Profile.08 CRAZY KEN BAND

帽子が本当に似合う人。それは格好良く年齢を重ねた大人かもしれない。
スタイルの変遷、年輪が醸し出すものが、帽子をかぶった肖像に現れる。
連載「帽子の肖像」では、2枚のポートレート写真、そして5つの共通質問に対する短い言葉から、帽子の達人たちの肖像を浮かび上がらせます。
8回目は、クレイジーケンバンドの横山剣さん。剣さんが帽子をかぶるその理由とは?


 

 

5 QUESTIONS TO

横山剣(CRAZY KEN BAND)

“帽子をかぶっていると、自分の細胞が活き活きするような感じがするんですよ”

 

あなたが帽子をかぶり始めた時のことを教えてください。

自分でかぶりたくて最初に買ってもらったのは、小学校低学年の頃の「テンガロンハット風の麦わら帽」です。映画なんかでよく観てて、テンガロンハットの人がカッコ良く見えたんですよ。その後もっとファッション的に帽子を意識し始めて、マイケル・ジャクソンとかフィンガー5の晃(あきら)くんみたいなソウルマン風にしたいと思って、小学校45年くらいからはキャスケット。そのキャスケットにパンタロンを穿いて、駅前のインスタント証明写真で写真を撮っていました。今でいう自撮りですよね。

 

あなたが憧れる(憧れた)帽子をかぶる人とは?

フランク・シナトラさんが好きだった父親の影響で、小学校低学年の時にはあのソフト帽姿に憧れていました。ちょっと斜めにワルっぽくかぶるのが“粋”で。父親もゲーハーだったんですけど、ソフト帽をかぶると相当悪そうになって、それがカッコ良くて。自分もあんな風になりたいと思っていたけど、本当にそうなっちゃいましたね(笑)。2003年頃からハットで登場するようになりましたが、20代、30代はトッチャン坊やみたいでサマにならなくて、自分でもハットが似合うと思えるようになったのは、40歳を過ぎてからですね。

 

あなたが帽子をかぶる時に気をつけていることを教えてください。

TPOですね。着帽がふさわしくない場所では脱帽します。例えばF1の日本グランプリで「君が代」を歌ったんですが、その時はサングラスもやめて脱帽しました。「それじゃ誰だか分からないよ!」ってツッコまれもしたんですけど(笑)、やっぱりその場やF1ドライバーへのリスペクトです。その時は帽子を手に持って、帽子の存在感は出して。手に持っている感じも格好いいじゃないですか。帽子をハンガーに掛けたりするのなんかも、大人っぽくてカッコいいですよね。帽子もできるだけ型崩れしないようにキチッとしていたいです。

 

今日かぶっている帽子について、教えてください。

この黒いハットはCA4LAで作っていただいたもので、贅沢にも特注品です。ステージでも使っていますが、夏でもあまり暑くないメッシュの帽子なので、軽いしラクに扱えます。日常からステージまで万能の帽子で、非常に気に入っています。帽子って数値とかじゃ分からなくて、かぶってみて初めて自分に似合うか分かるものなんですよね。CA4LAさんは僕の好みをよく分かっていただいていて、これまで作っていただいたものは、ハズれたことがありません。

 

あなたの人生にとって帽子とは?

自分はわりと気が小さいので、サングラスも、ヒゲも帽子も「照れ隠し」なんですね。コンサートの時は特にそうですけど、ハットやサングラスで“スイッチ”が入る。昔の甲冑のようなものかもしれないし、無いと何かが足らない感じがするし、あるとバランスが取れて安心する。もう顔の一部になっている気がしますね。帽子をかぶっていると、自分の細胞が活き活きするような感じがするんですよ。

 

横山 剣(CRAZY KEN BAND)©Double Joy Records.co.,ltd

撮影:清水健吾
編集:武井幸久(HIGHVISION)

横山 剣 /  KEN YOKOYAMA (CRAZY KEN BAND)

1960年横浜生まれ。小学校時代から音楽にのめり込み、中学2年生でバンド活動を開始。1981年にクールスRCのコンポーザー兼ヴォーカルとしてデビュー。以後いくつかのバンドを経て1997年春にクレイジーケンバンド(CKB)をスタート。“歌うメロディ・メイカー”としてCKBの楽曲の作曲・作詞、他のミュージシャンへの楽曲提供も行い、その作曲数は膨大。“東洋一のサウンド・マシーン”の名の下に活動するCKBは、2020年までに20枚のアルバムをリリース。最新アルバムは『NOW』。
https://www.crazykenband.com